はじまりは京都ひとり旅
昨年の冬に、初めて京都ひとり旅をしました。
普通、関東の中学・高校では京都の修学旅行が定番ですが、私の通った学校は毛色が違ったので20歳になるまで、京都は未踏の地でした。
初訪問の時もサラッと観光しただけで、日本史も地理も興味がなかった身としては、記憶に残らない旅でした。
50歳を過ぎて、通訳案内士試験の勉強を始めて、ようやく京都に興味が湧きました。
大政奉還の二条城、十円玉の平等院鳳凰堂、行ってみたいなぁ、と。
新幹線で2時間ちょっとなのに、なかなか行く機会がなかったのですが、一念発起して一人で行くことにしました。
出会いは宇治・源氏物語ミュージアム
その旅で宇治に行きました。
平等院からほど近い源氏物語ミュージアムでは、あの時代の扮装をして写真が撮れるとガイドブックに書いてあったからです。コスプレや顔出しパネル大好きな私は、迷わず行きました。源氏物語にはさほど興味がないけれど、変身願望は強い。
しかし、コロナの影響で撤去されていて、ガッカリしながら館内をウロウロ。
そしてたどり着いたのが、香当てコーナー。
いくつかの香を嗅いで、どれか当てるという源氏香というもの。
暇つぶしに挑戦してみたら、見事に当たり、賞品を頂きましたよ。
何をもらったか忘れちゃいましたけど。
香道は得意分野かも?
そんな出会いがあって、今回の香道入門教室。
宇治での勝利(大げさ)は、マグレではないのか、の確認をせねば。
某区のホームページを見ていたら、香道入門教室の案内がありました。
在住も在職もしていないのですが、ダメもとで申し込みましたら、嬉しいことに当選しました。
申し込みが少なかったのかしら、と思ったのですが、実際は多くの応募があったとのこと。
懐が深い某区、住んでみたい、と強く思いました。
あれ?もしかして、これが誘致の手口かな?
会場は由緒ある書院
香道入門教室の開催場所は由緒正しい書院でした。
公園の中に移築復元されたそうです。
趣のある設え。和を楽しむのに、もってこいです。
公益財団法人お香の会の先生方が教えてくださいます。
皆さん、当然ながら和装で、上品で素敵です。
香道の道具と聞き方
この絵にある、お湯のみのような陶器が香炉です。
炭の粉を固めた燃料、炭団(たどん)で、銀葉という雲母の薄い板を間接的に温め、その上に香木を置いて香りを立てます。
香道では、香りを「聞く」と言います。
お作法として、①右手で香炉を取り、左の手のひらに乗せる。
②香りを逃がさないよう、右手で蓋をする。
③右手の親指と人差し指の間に隙間を作り、鼻を近づけて、3回聞く。
コロナ対策で、この時は、紙を丸めたもので香りを聞きました。
ちょっと興ざめですが、このご時世では仕方ないこと。
香道の手順
体験したのは「菊合香」。秋の季節に合わせたのでしょう。
まず基本となる香り「試香」を嗅いで記憶します。
メモを用意していただいたので、記入します。
「秋風」という香でした。私は「ぼんやりした、個性がない」と書いています。
その後に4つの香「本香」が回ってきて、「試香」と同じか違うか、を判断します。
ほのかな香りなので、なかなか判別が難しい。
ちょっと「繊細さん」傾向があり、匂いに敏感な私ですが、あまり自信がないまま答えを提出しました。筆ペンで記入します。こういう時、字が汚いことに自己嫌悪、発動しますね。
ドキドキしながら、結果発表を待ちます。
見事、全問正解!
昔の人たちは、こんな遊びを楽しんでいたのですね。
都会の喧騒を忘れて、嗅覚を研ぎ澄ます。
何世紀も経て、私も優雅な時を過ごせました。
雅な遊びは、他にもありそう
香を聞いたお部屋には、貝合わせが並べてありました。
教室が終わったあと、貝の絵を見せていただきました。
貝合わせも興味深い。機会があれば、体験したいものです。